実践:購買までの導線を設計する「事例1:生ドーナツ屋さん」
前回記事では、導線設計がおかしいとお客さんは購入までたどり着けない、というお話をしました。
今回と次回、2回に渡って事例を使って、実際にどのように導線を考えて設計していけばいいかをご紹介します。
まず1つ目の事例は「生ドーナツ屋さん」です。
このシリーズはたまに流行りの企業でやってみたいなあ、と思っています(記事作成のアイデアが出やすい…^ ^)。
さっそく行ってみましょう。
流行っていれば売れるのか?
最近、若い世代を中心に爆発的な人気を誇る「生ドーナツ」。とろけるような独特の食感と、おしゃれな見た目で、連日大行列を作る店舗も少なくありません。
けれども、ただ「流行っているから」という理由だけでは継続して買ってもらい続けることは難しく、さらに導線がおかしくなっていると1回目の購入もないかもしれません。
今回はスイーツのお店、というイメージのしやすい事例でご紹介します。
ぜひ、実際のお店で自分が買うなら、ということをイメージしながら記事を読んでみてください。
顧客像を考える
導線を設計するうえで、顧客像を考えておくことは重要です。今回の生ドーナツ店では、以下のペルソナを想定します。

前回記事でも「ペルソナ」という言葉を使ってご紹介しましたが、色々な施策は全人類に適しているとは限りません。
けれども施策を無限に打つことは難しいため、まずはご自身のビジネスの主要な顧客層についてその人物像を考えます。
深く考えれば考えるほどより顧客理解も進みますが、時間がかかるだけでなく、ざっくり考えたものと深く考えたもので、それほど施策を検討するときに差が出ないというのも私は経験上、実感しています。
むしろ初めからうまくいくことはまずないので、早めに施策を打ち出し、それを振り返って改善する方が早いです。
一旦、ざっくりと考えてみましょう。
顧客層
この事例では対象顧客層を一旦以下のように考えました。
- 性別:女性
- 年齢:10~30代
- 所属:学生や会社員(独身)
実際の生ドーナツのお店は主婦層や男性の家族へのお土産用途(家族に言われて買ってくるパターンもあり)も多いと思われます。
行動・嗜好
10~30代の女性を全員を主要な対象顧客としているかというとそうではありません。以下のような特徴を持つ層が対象です。
- SNSを日常的に利用する
- 流行に敏感
- SNS映えしそうなものがあれば、電車などで出かけてその場所まで行く
こういった人が生ドーナツ屋さんに並んでそうではありませんか?原宿をクレープを食べながら、歩いているイメージです(昭和世代、田舎者の発想です…←私)。
ペルソナを考えるときのコツは、具体的な例となる人が身近にいればその人をベースに考えることです。イメージがつきやすくなります。
本音(インサイト)
ここでなぜ本音が必要なのか。それは施策を考える上で重要なポイントになることが多いからです。
「流行りものは好きだけど、長時間は並びたくない」これは皆が思っていることではないでしょうか?
またどうして流行りものが好きなのか。それはSNSの投稿ネタになるからです。
おいしいドーナツが食べたいだけであれば、わざわざ遠出して並んで買わなくても地元にもお店はあるでしょう。
こう言った本音の部分を満たしてあげることが購買のポイントになってきます。
カスタマージャーニーを考える
いよいよ顧客の購買までの行動を考えてみましょう。
前回記事ではカスタマージャーニーには色々なフォーマットがあることをご紹介しました。
今回はSIPSと言われるモデルで考えてみたいと思います。こちらはSNS時代のカスタマージャーニーと言われており、今回のケースに合っていると考えました。
実際はカスタマージャーニーをベースにご自身のビジネスに合うステップで考えてもらえれば大丈夫です。
SIPSは以下の内容で成り立っています。
- S:Sypathize(共感)
- I:Identify(興味)
- P:Participate(参加・購買)
- S:Share/Spread(拡散)
このモデルではある商材をどこかで見かけて(これがSNSであるケースが多い)、「うん、いい商品だ」と共感し、興味を持って、購入し、最後にSNSやその他の方法で拡散するまでの導線が考えられます。
各フェーズでの「顧客の感情・考え」と「行動」
各フェーズでは以下のような「顧客の感情・考え」と「行動」が考えられます

ここからは各フェーズでの詳細を説明していきます。
各フェーズにおける顧客の感情や考え、行動を検討し、さらに施策を考えるという部分は、創業塾参加者のようなマーケティングを体系的に学んでこなかった方があまりイメージが付かないような印象です。
そのため、実際のお店を想像しながらブログを読んでみてください。
お時間があれば実際の生ドーナツ屋さんの施策を実地で見てみるのも楽しいですよ。
1. Sympathize(共感)
生ドーナツを初めて知るのは「SNS」が多いかもしれません。テレビで取り上げられることもありますが、それよりも情報が早いことが多いです。
今は店舗が開店前からSNSを運用し、ワクワク感を募らせるような投稿をしていることもあります。
顧客は自分がフォローしている人がSNSで投稿した画像を見て「おしゃれ!」「食べてみたい」「可愛い」と思い、興味を持つでしょう。
そうするとやはりSNSで同じお店の画像がないか、またどこらへんにあるお店なのかを検索します。
考えられる施策
そうなるとお店がやるべきことは最初の接点となるSNSでの施策を強化することが重要になります。
- 店舗のSNSアカウントでひたすら“映える”商品写真・動画を投稿する
- ターゲット層に影響力を持つインフルエンサーを起用し、オープン初期の認知広げる
- 購入者がSNSに投稿したくなる仕掛けを作る(これは4. Shareで説明します)
- パッケージやショッパー(紙袋)にインパクトのあるおしゃれなデザインを採用し、「それを持って街を歩くこと自体がおしゃれ」となるようにする←投稿に繋がる(これも4. Shareで説明します)
SNSでの発信や認知を強化することで、「良い商品だ」という認識を持ってもらいます。
2. Identify(興味)
顧客が興味を持つと何をするか。
実際に買うためにどうすればいいかを調べたり聞いたりしますよね。
お店の場所を調べたり、どんな商品があるのだろうか、ということも気になります。
また人気店だから並ぶんだろうな、ということも予想していますし、実際他の人の投稿で毎日のように大行列なことも顧客は知っています。
ここで重要なインサイト「行列は並びたくない」が登場します。
この不安が解消されるような施策も考えておきたいですね。
考えられる施策
これらに対して、お店が取れる施策は以下が挙げられます。
- Google Mapでお店の情報を最新にする
- Google Mapの口コミを増やす
- SNSやGoogle Mapでメニューや価格を紹介
- 今日の行列の状況や売り切れ情報をInstagramのストーリーズで発信
お店の場所を調べるときにGoogle Mapを使う人が多くなってきました。公式ページに住所を載せていたとしてもGoogle Mapでそれを見る人が多いように思います。
実店舗を経営している方は必ず使ってほしいツールです。お店の口コミもよく見られています。
また、今日の最新情報を発信することも重要です。
「長い時間並んだのに買いたいものが売り切れていた」
これは最悪の顧客体験です。これを避けるために売り切れ情報を発信することも1つの手です。
また待ち時間の目安があることで、出かける時間の調整が付いたり、覚悟ができたり、お客さんの不安も軽減されます。
3. Participate(参加・購買)
いよいよお店に行きます。
行ってみたかったお店に実際行って、何を買うか考えながらSNSで他の人の投稿写真も見ながらほどよく並んで待つ時間はワクワクして意外と楽しいですよね。
けれども店頭に並ぶ時間は最も離脱(諦めて帰る)が発生しやすいポイントです。
並んでいることを楽しめたり、少しでも並ぶ時間を短縮できる施策を考えてみましょう。
考えられる施策
- 並んでいる最中にお客様にメニューを渡す
- ドーナツを作っている様子を列から見れるようにする
- 試食を配る
- キャッシュレス決済の導入
並んでいる最中にお客様にメニューを渡すと、待っているワクワク感を後押しし、選ぶ楽しさを提供できます。また注文時にお客さんが迷う時間も省け、お店側としても行列を少しでも早く動かすことができますね。
ガラス張りの工房からドーナツが作られる様子を見せたり、試食を配ることも待ち時間そのものを楽しんでもらえそうです。
また、若い世代はキャッシュレス決済が主流です。お客様の買い物の不便さを解消し、また支払い時間の短縮のためにもキャッシュレス決済導入は欠かせないでしょう。
4. Share/Spread(拡散)
購入した顧客が次の「共感」を生む発信源となる段階です。
SNS時代において、投稿によって情報が共有・拡散される仕組みはお店側としても確実にしかけておきたいものです。
おしゃれなものを販売していればいいのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、それ以外にも積極的に仕掛けを作ることができます。
その施策を考えてみましょう。
考えられる施策
これらに対して、お店が取れる施策は以下が挙げられます。
- ショッパーのデザインにこだわる
- 撮影したくなる場所、定番の撮影場所を作る
- 投稿に対してインセンティブ(報酬)を与える
- LINEでのリピート施策を取る
まずはショッパーにこだわってみましょう。
おしゃれでインパクトのあるデザインであれば、購入後の帰り道に「買った」ということをSNSにアップしてもらえます。
また店舗の出入り口や近くに、購入したドーナツを撮影するのにぴったりな看板や背景を設置するのもよいでしょう。買ってすぐに食べる人(SNSに投稿したい人)はこれを背景に写真を撮影し、投稿してくれそうです。
また、ハッシュタグ投稿をしてくれた人をお店側が引用投稿したり、お礼を返信で伝えたりすることでさらに投稿は促せます。これには顧客満足の向上やリピーター獲得の効果もあります。
リピーター獲得で言えば、「投稿キャンペーン」を実施して、ハッシュタグをつけて投稿してくれた人に次回使えるクーポンを配布したり、公式LINEの友だち登録を促して「新フレーバー発売のお知らせ」を定期配信することで、再来店・リピート購入へと繋げます。
ここまでの話をまとめると以下のようになります。

カスタマージャーニーの考え方、そしてその行動に合わせた施策を考えていく工程を少しでも体感していただけましたら幸いです。
顧客行動を考えることでスムーズな導線にするための施策の打ち手が浮かんでくる
いかがでしたでしょうか?
今回はイメージしやすいBtoC商材であるスイーツを取り扱ってみました。
若い世代へのアプローチにはSNSが欠かせません。彼らがどのタイミングでどんなことをしたくなるか、を考えることで1つのSNSでも様々な施策が考えられます。
また購入のハードルとなりやすい長時間の待ち時間、また店舗情報の分かりやすさなど基本的な部分でも、様々な工夫が可能です。
さらにはWEB上だけではない施策も必要になってくるということも見ていただけたかと思います。
次回はBtoB商材で同じように考えてみましょう。
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